
2010年、日本。敬老の日。
昔日本という国では、『心から』老人に感謝し敬う者が確かに存在したが、今は一人も存在しない。
築50年の一軒家に入り込む活発そうな少年。
「オジイちゃん」と白髪の老人に話しかける。
「おお、どうしたんじゃ?」突然の孫の来訪に喜ぶ祖父。
「今日は敬老の日じゃん? だから・・・、」
と、カバンの中から何かを取り出そうとしている少年。
「そんな。その気持ちだけで十分じゃよ・・・」涙ぐみそう答える祖父。
「だから殺してあげるよ!!」と、刃物を数本取り出し両手に装備した。玩具には見えない。
「ど、どういうことじゃ!?」思いもよらない事態に驚きを隠せず尋ねる祖父。
「老害は殺してやることが最大の敬愛に決まってるじゃないか!!」と豪語する少年。
「ぐわぁぁああぁぁぁぁ!!」と断末魔をあげ死亡した祖父。

昔、少年が描いた祖父の似顔絵が壁からは落ちて来る。
「まだこんなもん残してたのかよ、薄汚いジジイめ」
と死体を眺めながら、
「僕達子供は小汚いジジイがいなくなって喜ぶし、父さんと母さんも絶対に喜ぶし、
実質的に子供の日と母の日と父の日を同時にやった感じだよね。
国から感謝されて金一封も出るし、いい事をした後は気持ちがいいなあ」
と正論を述べ歓喜している少年。
その時だった。
「ウゥゥウウウウゥゥウゥゥウウゥゥ」
知的障害者みたいな雄叫びをあげ、なんと、ジジイがゾンビとして蘇ってしまった。
知的障害者はある意味ゾンビみたいなものだが。
「うわぁぁああぁぁぁぁああ!」
ジジイゾンビに食い尽くされて死亡する少年。
彼は生まれて初めて、心から敬老の日に老人を祝う事が出来たのであった。
そしてジジイババアのゾンビ軍団の逆襲が始まり、老若男女の『老』を除いた人種は一人残らず食い尽くされ、一年後、この世界はジジイとババアだけになってしまった。ゾンビなので介護が必要なかったので例の問題は解決した。
2011年、日本。
昔日本という国では、『心から』老人に感謝し敬う者が確かに存在したが、今は一人も存在しない。
ゾンビに支配されたのが原因では無いのは、言うまでも無いが。
・・・MOTHER2 ジジイの逆襲・・・
完