
「よっ、健太」日曜の夜。豪邸の一室に入り、陽気に甥っ子に声をかける俺。
「あっ、オジさん・・・どうしたの?」デスクトップのパソコン画面から視線を俺に移し、尋ねて来る。
「ちょっと、兄貴から呼び出し説教タイムでね」と自嘲気味に喋りながら、横に向かう俺。
「またなんだ。大変だね」
「まあな。それよりお前、最近ブログやってるって?」
「あ・・・うん」
「今小学5年だっけ? 小学5年生がどんなブログ書いてるのか興味あるわ、見せてくれよ」
「いっ、いいけど・・・あんなに面白いブログ書いてる人に見せるのはちょっと恥ずかしいかな」
「ははは。そんなに身構えるなよ。俺と同じように面白くするなんて誰にだって無理だって」
「それはそうだけど・・・」と恐る恐る、アドレスバーに自分のブログURLを打ち込む甥っ子。
「おっ? ってお前お気に入りじゃ・・・まあいいや、どれどれ」
と、画面に表示された甥っ子のブログを覗き込む俺。
●記事名:あー。
毎日疲れる;;
たいむましーんに乗って過去に戻ってみたいっ!
恐竜さんにあえるかなあぁー?´`p*
食われるか 笑←
PS、
今日はすき焼き∩゚゚∩
オイシそうっっ|qエ`=)
いただきまーす(゚ョ`)ガブ
2010/11/14 18:33
カテゴリ:日記
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「ど、どうかな?」とりあえず俺が最新記事を一つ読み終えたのを察し、甥っ子が弱腰で尋ねて来る。
「・・・」
ぶち。俺は必死に耐えようとしたが、キュアブロッサム(花咲つぼみ)ばりに堪忍袋の緒が切れてしまった。
「なんだこれはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!」と叫び、平手打ちを食らわした。
「あうち(痛い)! なにするんだよぉオジさん・・・」
殴ったね!親父にもぶたれたこと無いのに!!と言わない事が更に俺の怒りを増徴させた。
「おい、なんだよこの平凡な愉快な記事は! 人々が見たいのは、見たくない事にしてるのは、不幸だろ、不愉快さだろ、負の要素だろうが!」あたり前田のクラッカーの出番だった。
「えっ???」事態が飲み込めない様子の甥っ子。
「てめえそれでも俺の甥っ子かよ。家系の恥を晒してんじゃねえよ。他人を楽しませられないなんて恥なんだよ、他人に対して、楽しんでない事にさせてやれないなんて恥なんだよ!」あたり前田は頷き過ぎて首が痛そうだった。
「ええー・・・」なにやら納得行かない様子の甥っ子。これは論より証拠で理解させるしかないだろう。
「はあ。俺に任せろ」と甥っ子を押し退け、椅子に座りデスクトップのパソコン画面に向かう。
「ちょっ、ちょっとオジさん」制止の声虚しく、俺の指は既にキーボードだった。
●記事名:あー親を殺したい
毎日親を殺したい;;
親を殺してミンチにしてハンバーグにしてご近所さんにお裾分けしたい!
貰ってくれるかなあぁぁぁ?´`p*
通報されるか 笑←
所で僕のこの記事を見たそこの人・・・間違えた、そこのブ・タ(誰の事言ってるブヒィ!!俺は見てるだけだから言われてないブヒィよね???? ←ってかw流石豚語^w^意味不明^^^^^^^^^)
見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない見てない;;
ってか?プ・ゲ・ラppppppppppp
PS、
ママ「見るのはいいのよ! でもコメントするのは駄目なのよ;;見てれば偉いのよ!!」
今日も意味不明な教育方針に言いなり、お疲れ様でーす!ちゅーす!!うっす!唯一の特技の見て見ぬフリっすか!っす;;
本当のこと言っちゃってごめんね;; じゃあ、いつも通り、いつも通り、いつも通り、見なかった事にして逃亡してね^^(コメント出来ない=僕雑魚なんです;;勝ち星どうぞ;;ってか^^)毎度毎度僕に勝利数くれて、あざーす!っっっす!><うっす!!!!!!
2010/11/14 21:11
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「どうだ? 俺の甥っ子なんだからこれぐらいやってみやがれてめえこら。これで普段お前にコメントくれてる子達も、見なかった事にせざるを得ないだろう。つまり心から楽しんだって事だ。コメント出来ないって事はな。画面の向こうには人がいるんだから、愉快な事なんて書くなよ。不愉快な事書いて楽しませろよ。ったく礼儀知らずが。画面の向こうの人の事思いやれないから、不愉快なのが書けないんだよな? 画面の向こうの人事思いやれるなら、愉快な内容なんて書けるはずないよな? 大体、お前が親を大切にしてる事なんて身近な俺がよく知ってるんだから、せめては親を殺したいとか嘘ついて、負の要素を提供して、画面の向こうにいる不幸者、不幸って事からは目を背けてるカスどもぐらいは幸せな気持ちにしてやってくれよ!! お前が幸せって事実は変わらないし、画面の向こうの皆さんも他人の不幸見て幸せになれるんだからみんな幸せになれるだろうが!! 世界平和の鍵はまずはそこからなんだよ!!」
俺は得意顔で力説し、自己陶酔していた。あたり前田は感動し、泣きながら抱きしめて来た。
「言ってることは非の打ち所がない正論だけど、こんな小学生いやじゃん!! オジさんおかしいよ」