

「ふー」
熊本県熊本市に住む、4月6日に待望のニューシングル『縁を結いて(えにをゆいて)』をリリースする、
堂本剛の7年前の時ぐらいにイケメンだが今ひとつパッとしない25歳の青年は、
いつものように近所のスーパーに買い物に来ていた。すると、信じられない張り紙が目に入った。
「 当面の間、カップ麺各種、ペットボトル飲料はお1人様各3個までとさせていただきます。
ご迷惑をおかけしますが、ご協力をお願いします。-店長ー 」と。
「なんだこりゃ。どういう事だ? なぜ? なじぇっ!? ほえぇぇぇ。お兄ちゃん。ユキトさん」
別に『きめんどうし』からメダパニを食らったわけでは無いのだが、混乱する青年。
だが、現代の諸葛孔明、と押し売りセールスマンからおだてられた事があるほどの頭脳の持ち主でもある青年は、思考を働かせた。
「あっ、そうか。あの鬼畜ロリコン野郎の影響か」と、納得する青年。
先日起こった、痛ましい(と100人中1人が思って、99人は微笑ましいと思う喜劇)惨劇、
『私立熊本学園大学2年、山口芳寛容が3歳女児を誘拐して殺害事件』を受けて、
「こんな時にカップ麺を食ったりペットボトル飲料を飲むのは不謹慎だ」
と熊本市長の幸山政史が発言した事から、
熊本市内のスーパーやコンビニでは自粛体制が取られているんだと察する青年。
「だが、3個までって言われると9個は買いたくなるぜ」
ペンキぬりたてって書かれてたら触りたくなるのが、人間の性だ。
そこで青年は、宮城県と岩手県の親友に電話をする。
「どうした?」と心配してくれる二人。
「大変なんだ・・・すぐ来てくれ」と小さい抑揚で今の自分の場所を詳しく教え、泣きながら頼む青年。
「待ってろ! すぐ行く!!」と速答してくれた宮城県と岩手県の親友。
数十分後、本当にすぐに来てくれた二人。
「早かったなお前らっ!?」津波で流された人ばりに驚く青年。
「なんか知らんけどフジテレビの報道陣が偉そうにヘリコプターで取材に来てたから、ぶち殺してヘリコプター奪って来たぜ」と声を合わせて言う宮城県と岩手県の親友、
「そっ、そうか」納得せざるを得ない青年。
「それより、熊本は大丈夫なのか・・・? 今、大変そうだよな・・・」
まるで、大震災で被災した町の被災者に声をかけるように心配してくれる、宮城県と岩手県の親友。
「ああ。まあな、ありがとうな・・・」
「何言ってんだよ水臭い。何も起こってない場所の奴が、何か起こった場所の奴を助けるのは当たり前だろ?」なんの衒いも無くそう言って来る宮城県と岩手県の親友。やはり持つべきものは親友だと再確認する、青年。
そして宮城県と岩手県の親友は、カップ麺とペットボトルを三個づつ購入し、それを全て青年に進呈した。
「見てろよ。熊本以外の46都道府県の奴等っ・・・! お前等はテレビ、パソコン、携帯の画面越しに情報を見て楽しんで、『熊本大変だなあ』って喜んでるだろうが・・・。間違えた。楽しんでないフリ、喜んでないフリをしてるだろうが、熊本は必ず復興するからなっ・・・!! 熊本人を・・・、舐めるなよおぉっ!!!」
と口に出し声高に決意表明する、火の国に暮らす熱き九州男児の青年であった。
宮城県と岩手県の親友はヘリコプターで平和な東北地方に帰ってる途中、墜落して死んだ。
熊本の青年は、帰り道通り魔に刺されて死んだ。
今日も、日本は平和だ。