『可愛い女子中学生と プールに行きたい』
『可愛い女子中学生と一緒にカルピス飲みたい』
『可愛い女子中学生に、はいアーンして☆をして貰ってカキ氷食べられたら死んでもいい』
『暑くてブラがくっきりしてすけてるぞ?って言ったらもぅ、エッチ☆って言われる 男の夢』
とかのキーワードで思わず検索したくなってしまう暑い季節。
築30年以上の一軒家の小汚い台所、潔癖症の青年は悩んでいた。
何時ものように紙容器500mlのやつの『カルピス』をコップに注ぎ美味しく飲もうとしていたのだが、
毎日適当に薄めていたが、気まぐれでパッケージの表記を見たのだ。
「『ご自分の好みにあわせて、4~5倍を目安にうすめてお召しあがりください』だと・・・?
どういう事だ・・・?」と、『カルピス』パッケージの表記を見て葛藤している青年。
「確か昔は『5倍で薄めてください』って限定的だったと思うんだが・・・時代は変わってるのか」
と脳裏を過ぎるが今一つ確信は持てなかった。
「仕方ない、記憶を頼りに5倍で薄めてやるか・・・」とほくそ笑み5倍で薄め美味しく飲み干す青年。
当然グラスに、氷を大量に入れている。当然、箸でかき混ぜた。
ちなみに『4~5倍で薄めてください』というのは、氷を除いた水の量であるらしい。
これは会社側が「冷たい水で希釈する事を想定してるから」らしい。
「ふふふ、美味いじゃないか・・・5倍カルピス」意味も無く優越感に浸っていた。
「次は4倍行くぜ? 行っちゃうぜ? 降参するなら今の内だぜ?」
と問い掛けるがシャイなのか返事が無いので、4倍カルピスを美味しく飲み干す青年。
「4倍でもうめえなあ、おい・・・」とその素晴らしい味に満足する青年。
今更当然の事を再確認し、その余りの美味しさに、青年の創作心は刺激された。
「待てよ・・・カルピスって麦茶でもいいんじゃないか?」
と急に思い付き、5倍カルピスを水じゃなく麦茶で薄めてみた。すると・・・、
「うめえぇぇぇぇえええぇぇぇぇぇぇぇえ!!」と思わず叫ぶ青年。
「俺はこの美味しさに20年間気付いてなかったのか・・・なんてこった」
と、自身の無駄な人生を深く後悔する青年。
「そうだ、次はサイダーだ・・・サイダーで薄めてみよう!!」と断言する青年。
だが、カルピスの中身はもう空っぽだった。
「500mlのやつ一つで16杯は飲めるけど、昨日も一昨日もかなり飲んじゃったからなあ・・・」
と説明口調で発言する青年。
リビングに向かい「母ちゃん」と声をかける青年。
「どっ、どうしたの?」驚きながらも答えてくれる母親。
「カルピスを買いに行くからお金頂戴!」
「えぇ!? 美味しい美味しいカルピスを買いに行くの!?」
「うん、日本一・・・いや、世界一美味しい飲み物、カルピスを買いに行くんだ!」
「そう・・・カルピスは本当に美味しいものね」
母親は恐る恐る野口英世の肖像が描かれている紙幣を差し出す。
「ありがとう!」とお礼を述べ、ダッシュで近くのスーパーに向かう青年。
そう、飲めばみんな幸せになれる飲み物、カルピスを買いに。
余談ではあるが、青年は中学卒業してから今日まで、10年間も家に引き篭もっていた。
ひきこもりの真実を抉り続け187話も続いた今作『ひきこもり物語』であったが、
僕等のカルピスのお陰で、大団円の最終回であった。
スーパーに辿り着きふと店内を見回すと、国民的アイドルグループの嵐(あらし)がいた。
松本潤くんも櫻井翔くんも二宮和也くんも相葉雅紀くんも、もう一人の人も、
みんな楽しそうにカルピスを買っていた!
「こんなに凄い人達も味の素株式会社のカルピスが大好きなんだなあ!」と思う青年。
「それはちがうよ」と『怪物くん』が話しかけて来る。
「えっ?」
「味の素株式会社の美味しいカルピスが大好きって気持ちに、凄いも凄く無いもないでしょ?」
「はっ、はい・・・」
そして、
「いつもすぐそばにある ゆずれないよ 誰も邪魔できない 体中に風を集めて 飲み干せ
CA・LP・IS! CA・LP・IS!! for dream」
と名曲でありデビュー曲でもある『CA・LP・IS(カ・ル・ピ・ス)』を熱唱していた。
「ぐすん・・・」と感動する青年。
ふと気付くと、陽気な黒人トムや、くたびれてもやる事やってるキュートな心意気な人もジャスラック○の人も、
味の素株式会社のカルピスを楽しそうに買っていた。悪くないってか、いい光景だ。
味の素株式会社のカルピスを美味しいと感じる心には人種も国籍も障害も年齢も関係無い。
言葉よりも大切なものが、カルピスにはあるのだから・・・。
嵐はパッケージに書いてあるレシピに影響され、カキ氷にカルピスをかけていた。
「へー、カルピスってカキ氷にかけても美味しいのか!!」と、説明口調で感心する青年。
「やっぱ夏の飲み物はサイダー○よりもポカリスエット○よりも、なんてったってカルピスだよなぁ!」
「まったくだぜ!! 空にキラリと輝く悲しい程の星よりも、カルピスだよな!!」
「今日もテレビで悲惨な時代だって言っちゃってるけど、大人の人でもカルピス好きな人って多いよね?」
「別に大人が飲んでも悪くないんじゃないってかいいんじゃない?」
と、棒読みで不自然な会話をしながら立ち去る嵐であった。
北島三郎も阿部寛も武田鉄矢も渡哲也も渡辺いっけいも児玉清も森且行(元SMAP)も、
「美味しいなぁ、美味しいなぁ・・・カルピスは本当に美味しいなぁ」と美味しく飲んでいた。
東京湾岸(わんがん)警察署の刑事達も、葛飾区亀有公園前派出所の巡査達も、
明青学園高等部の野球部員達も、墨谷二中のキャプテン達も、
選ばれしアルター使い達も、織田四天王の名武将達も、生き残る哀戦士達も
稲中(いなちゅう)卓球部員達も、大野事務所の行政書士の面々も、
○×小学校5年3組の生徒たちも、ガチャピンとムックも、
埼玉県立西浦高校の野球部員達も、北島ファミリーも、
神羅カンパニーの私設エリート部隊ソルジャー達も、閃光騎士団も、
アリティア騎士団のテンプルナイツ達も、日昇小学校の地球防衛組達も、
川島海荷も、味の素株式会社社長の『山口範雄』も・・・。
みんな、みんな夏の風物詩カルピスを美味しそうに飲んでいた・・・。
カルピス原液(500ml)紙パック:198円(底値?)・・・。
198円で救える命が、ある。198円で手に入る感動が、ある。198円で脱出できる、引き篭もりが、ある。
アナタも、辛い事、悲しい事、苦しい事があったら、カルピスを飲みましょう。
問題は解決しないでしょうけど、それでも、それでも、
夏の風物詩カルピスは・・・美味しいのだから・・・。
完
長らくのご愛読ありがとうございました
※この物語はフィクションであり、実在の人物及び団体とは『一切』関係ありません