「やばい・・・」
熊本県熊本市。ここに住む、イケイメンだがいまいちパッとしない25歳の青年は悩んでいた。
自動販売機に缶のコーラを買いに来たのだが、財布には110円しか入っていなかった。
しかし、120円投入する必要があった。
とりあえず110円入れてみるが、やはり「つめたーい」の下のランプはつかない。
大人しく返却レバーを引き、釣銭口から110円を取り出す。
とりあえずその100円玉と10円玉を握り締め祈ってみるが、やはり10円玉は増えない。
青年は無性に炭酸が飲みたくて諦めたくなかったので、精一杯思考を働かせる。結論は、近くのネットカフェに入店する事だった。
入る早々目先に位置するレジに待機していた店員に「通常料金でお願いします」と会員証を見せる青年。
この店は最初の30分は300円なので、青年の所持金では足りない。
しかし彼は、ファミコンソフト、たけしの挑戦状を定価で買うぐらいに無能だったが、そこまでの無能ではなかった。ちゃんと考えがあったのだ。有事の際に備え、ホットペッパーについていたこの店専用の200円割引券を所有していた。つまり、最初の30分は100円で済むのだった。
「ふふふ」とほくそ笑み、青年は自身に割り当てられた席でパソコンを立ち上げる。
そして『100円で ジュースを買う方法』で検索する青年。
するとなんと、2件目にして「コンビニでペットボトルのジュース買う奴見ると笑えてくるwあんなのスーパーで100円以下で買えるだろ」という有力情報が手に入った。
「そうだったのか、知らなかったぜ」と呟き、青年は優越感と勝利気分に浸った。
炭酸飲料やコーヒー等が飲み放題のドリンクコーナーを通り過ぎ、レジで清算しネットカフェを後にし、スーパーへ向かう事にした。
スーパーの飲料売り場に辿り着き、青年は重大な事実に気付いた。
「俺の今の所持金、10円じゃねえか・・・。買えないわ」と。