9月が終わった。10月の昼過ぎ、熊本県熊本市。当然ここも他の46都道府県のように、9月から10月になった。だが、薄汚い部屋にこもっている薄汚い25歳で人生が終わってる青年がひきこもりの糞ニートだという事実は変わらなかった。しかし青年の脳裏には一抹の疑問がよぎった。
「待てよ、本当に今日から10月なのか? 本当に俺はひきこもりの糞ニートなのか?」と。
実年齢は25歳だが、精神年齢は14歳で止まっているので、小学生が考えそうな発想をさも斬新な発想かのように思っていた。
任天堂のホームページの問い合わせフォームから問い合わせてみた。
「本当に今は10月で、自分がひきこもりの糞ニートなのか?」と。
流石は天下の任天堂であった、数時間後、つまり当日に返信が来た。問い合わせても放置が当たり前の、客を客と思っていない某FC2○と違って客を大事にしている。
「問い合わせ真にありがとうございます。今は10月なのか?という問い合わせに関してですが、 当社への問い合わせ日は10月1日だと存じますのでお察しの通りだと思います。 また、問い合わせをして頂いた日は中国の建国記念日でもあります」 実に丁寧な文面だった。だが、ひきこもりの糞ニートなのか?という問いは無かった事にされスルーされていた。まるでリアルでの彼の存在のように。故に精神病を患っている青年は「今が10月ってのも嘘に決まってる」とブツブツ呟いた。
考えた末に青年は、いのちの電話に相談する事にした。電話をかける青年。
しかし相談員はマニュアル通りの無機質な定型文章でしか返して来ないので、「本当に今は10月で、自分がひきこもりの糞ニートなのか?」という問いは、はぐらかされてしまった。
次に青年は、140文字以内の『つぶやき』を入力して共有するサイト、Twitter(ツイッター)を頼る事にした。何しろ青年はここでは人気者だった。869人もの利用者からフォロー、つまりチェックされていた。
ここで「本当に今は10月で、自分がひきこもりの糞ニートなのか?」とつぶやけば、誰かがつぶやきで返してくれると思ったのだ。だが数時間経過しても誰も触れてくれなかった。数字が増えてるだけで、青年の事を心底気にかけて心配してくれる者は一人もいないので無理もない話ではあるのだが。
仕方ないので、世界中に散らばった7つを全てを集めると、どんな願いでも1つだけ叶えられる球『ドラゴンボール』探しの旅に出ようと思ったのだが、ひきこもりなので外出できなかった。気がついたら日も暮れている。
「どうすればいいんだ」
「どうすればいいんだ」
思わず復唱してしまう、生きる価値皆無のクソひきこもりカスニートのダニ青年。こんなに悩んだのは初代ときめきメモリアルで、虹野沙希をオトすか片桐彩子をオトすかで葛藤した時以来だった。
だがそこで青年は突然、スーパーロボット大戦でのコウ・ウラキや神隼人ばりに閃いた。
「そうだ、親に尋ねればいいじゃないか!!」とひらめいたのだった。やはり最後に行きつくのは両親だ。
そして青年は部屋から出て一階の居間に向かう。
「父さん、母さん、本当に今は10月で、自分がひきこもりの糞ニートなのか?」と尋ねる。
だが、返事が無い。両親はただの死体のようだった。青年は重大な事実を思い出す。
「そうだった、9月の終わりに俺が殺したんだった・・・」
警官が駆けつけ、「じゃあ10月1日、午後7時35分・・・逮捕するから」と時間を述べ手錠をかける。
そこでやっと「ああ、今日から10月なんだなぁ」と確信した青年。