2050年、体育の日。
この日は、成人男性は国から派遣される派遣員の女性とセックスをする事が義務付けられている。
「童貞だから」という理由で自殺した成人男性の数が数年前には一万人を超えたので、
その対策として「全ての成人男性は経験して平等になるべき」と可決された法令である。
「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」を趣旨としている体育の日が適任なので決まった。
セックスをしなかった成人男性は非国民認定され容赦なく死刑執行を言い渡される。
そしてその日、とある地域に住む一人の成人男性は悩んでいた。
「もうすぐ女性派遣員がやって来る・・・」と。
彼はネットで知り合った女子中学生と、メール、電話で愛を育み、そして付き合い出した。
しかし、この法令と既存の条例は無関係なので、当然彼は彼女とはセックス出来ない。
このカップルにとっては、彼は不条理を感じるし、彼女は嫉妬に狂う日であるのだ。
無常にもその時間はやって来る。
女性派遣員は到着早々慣れた様子で青年のズボンを下ろし、尿道口にペロペロと舌を這わせている。
「あっ・・・。ちょっ、ちょっと・・・」
青年を黙らせるように、濃い陰毛を掻き分けて根から筋へと舐める女性派遣員。
器用に舌を動かしながら亀頭を舐め、この日のために特訓されている技を存分に発揮して来た。
青年にとって、こんな事はあってはならない事だった。
常に見とれてしまう、ぷっくりとした形のよい桃色の唇。
だが、青年がそこを舐められたいのは目の前にいるこの女では無かったのだ。
現在の若手女性タレントの中では間違いなくトップクラスの折坂星美に類似しているこの女性でも、身体は満たされても、青年の心は満足出来なかった。
「やめてくれっ!!」と叫び思わず青年は女性派遣員を突き飛ばし、ついでに精液も飛ばした。
女性派遣員は打ち所が悪く、即死してしまった。
「ああ!? 取り返しのつかない事を・・・してしまった・・・」と深く後悔していると、
太り気味でサングラスをしている金髪の老人が現れた。
「いけませんか、こんな事をしたら!? でもね、僕はただ中学生の彼女とセックスがしたかっただけなんですよ・・・。そう思っちゃいけないんですか!? 条例ってそんなに大切なんですか!?」青年は、はんばヤケクソ気味に、何気に不法侵入してる面識の無いその老人に問いかける。
「良くわかる話だが・・・」と相槌を打ってくれる老人。
「愛しててもセックスしたら駄目と言うのですか・・・!?」
「そうだ。そして、次の世代の子供達のための節度ある子作りをしなくてはならない」
「僕にそんな責任があるわけないでしょう・・・!?」
「あるさ」
「貴方は僕の何なんですか!? 好きな女とセックス出来ない僕に、何かを言える権利を持つ人なんて、いやしませんよっ!!」青年は鼻息荒く興奮しながら語った。
「極楽とんぼの、山本圭一という人の事を知ってるかなっ?」冷静沈着な態度で脈絡無く切り出す老人。
「過去の偉人ですよね。尊敬してますよ。あの人は、ふざけた淫行罪・・・青少年条例を一身に背負って、腐った権力を倒そうとした人ですから。でも、権力に一人で対抗しようとして敗れた、馬鹿な人です・・・」
「正確な評論だな。が、その言葉から察すると、その人の言う事なら聞けそうだな・・・?」
「会える訳ないでしょ・・・からかわないでくださいよ!」
「そうだな。俗人は、ついつい自分はこういう人を知っていると言いたくなってしまう嫌な癖があるのさ・・・許してくれ」と言い残し、立ち去る老人。
「くそ・・・クソっ・・・!!」青年はそう叫び、女子中学生の彼女の元へ向かう。
「おいっ!!」女子中学生の部屋に入る早々熱り立っている青年。
「あっ・・・。どうしたの? 今日はあの日だから・・・、もう・・・シて来たの?」女子中学生は嫉妬を抑え虚ろな目でそう尋ねる。
「いや、してない・・・。俺がしたいのはお前なんだ!」と叫び押し倒す。
「あっ、ちょっ、ちょっと・・・お願い、やめっ・・・! っっ!!」
女子中学生の彼女の唇は彼の唇で塞がれた。彼は彼女の唇を乱暴に犯した。
「ふっ・・・。う、うううぅ・・・」
舌を無理矢理ねじこむと、彼女の抵抗はいっそう強くなったがそんな事は彼には関係なかった。
「嫌か?」優しく尋ねた後、首筋に舌をはわせる。
「嫌じゃないけど、私まだ中学生のガキんちょだから、満足させられないから・・・」
「俺はお前と愛し合いたいんだ!!」服に手を差し込み胸の突起を摘み、長い指で優しくクリクリと揉む。
「あっ・・・。あぁぁっ!!」
「もう我慢出来ない!!」
彼はまた首筋にキスを落としながら手を下の方へのばしていった。 秘部に彼の指が触れると、彼女は甘い疼きがこみ上げてくるのを 感じずにはいられなかった。それと同時にもの凄い羞恥心が襲って来る。
「あっ、あの・・・」
「ん?」
彼は下着の上からそこをこすりだした。
「・・・あっ!!」
「うわ、すげぇ。濡れてんじゃん・・・」
「言わないでよ・・・」
恥ずかしくて死にそうな彼女の羞恥心を煽るように彼は言った。器用な手つきで純白のパンツはあっという間に脱がされてしまった。
彼女の心に新たな恐怖心が沸いた。目の前には生まれて初めて見る勃起した男性器があった。
「む、無理ですっ・・・! そ、そんなの入らない・・・」
「大丈夫だって。入る。ってか入れる」
「こ、こ、怖い・・・」
「大丈夫だって。優しくするから。な?」
彼は優しくしようなんて微塵も思っていないような意地悪そうな顔をして彼女の両足をつかむと、左右に大きく広げた。
ズブズブと段々入ってくるその感覚に彼女はぞくりと鳥肌をたてた。
「い、痛い。い、いや・・・。あっ、ぁ・・・」
「ごめんな。でもあとちょっとだ。入れるぞ?」
「はい」
「うっ・・・」
彼が少しうめいた。全部入ったのだ。
「俺達、やっと・・・やっと一つになれたんだ」泣き出す彼。
「うん・・・。うん・・・」それに呼応するかのように泣き出す彼女。
成人男性の彼と女子中学生の彼女、このカップルはこの日やっと結ばれた。
しかし彼は、『体育の日(セックスの日)』に国から派遣される派遣員とセックスしなかった故に非国民として処刑された。最後に言い遺した言葉は、
「好きな女とセックス出来ない法令があって、好きでもない女とセックスしなきゃいけない法令があるこの国は間違ってるっ!!」だった。最後まで強気な態度で、安らかな死に顔であったという。
そして死刑された彼と愛し合った彼女の中には、新たな命が宿っていた。