「おい親友、大変だっ!!」俺は親友の部屋に入る早々、パソコンのモニターに向かってる親友に開口一番声をかける。
「どうした?」視線をモニターから逸らさず尋ねて来る。
「近くのショッピングモールの中にケーキ屋が出来たんだけどさ、1500円でケーキ食べ放題とかやってたんだよ・・・」俺は少しはにかみながらそう告げる。
「で?」やはり、タイピングしながら興味無さそうに相槌を打ってる親友。
「でも、男一人でケーキバイキングとか入るのは恥ずかしいだろ?」
「じゃあ女友達と一緒に行けよ」と言われるやいなや、俺は首を吊ろうとしたが親友はさり気無く、ガイルの必殺技『ソニックブーム』を放ち、俺を若干吹き飛ばした。俺は生まれて初めて人情の機微に触れられたような気がする。
「まぁ悪かった。で?」俺にどうしろと?ってニュアンスで尋ねて来る親友。流石に『女は何時もは冷たいのに時折優しさを見せる男に弱いからギャップで落とせ(著:伊藤孝)』が愛読書の奴は一味違うぜ・・・!!
「俺に凄い考えがある」俺は満面の笑みを浮かべて断言する。
「俺と一緒に行けば恥ずかしくないとかって愚案じゃねえだろうな・・・」
「おいおい・・・。伊達に俺は、現代の大軍師黒田官兵衛って呼ばれてないぜ」まぁボケてるジイちゃんから呼ばれてるだけだが。
「で?」ガンダムSEEDの女キャラばりに勿体ぶらずに早く言えってな感じで素っ気無い親友。
「お前には、小学生の妹がいるだろ?」この発言は不意打ちだろうと、俺はほくそ笑んだ。
「いるけど・・・。で?」だがやはり、一緒に帰って噂とかされると恥ずかしい藤崎詩織ちゃんばりに冷たい親友。
「お前の妹を少し貸してくれ!!」と俺は、田代まさしが志村けんにした土下座ぐらいに誠意の無い土下座をして頼み込む。
「別に構わないが。小学生の女の子と一緒なら、ケーキバイキングは恥ずかしくないのか?」素朴だが当然の疑問をぶつけてくれる親友。甘いな、ガトーショコラぐらいに甘いぜ親友。
「俺を舐めるなっ!!」と、幽遊白書(著:冨樫義博)の飛影ばりに叫び、迅速に親友の妹の部屋に向かい事情を説明し、共にショッピングモールへと向かう。俺の下半身が密かに勃起してるのは内緒だ。
俺には、漫画『泣くようぐいす』を思い付いた木多康昭ばりの大発想があった。
それは、親友の妹にショッピングモールの本屋で週刊少年ジャンプの人気漫画『ONEPIECE(著:尾田栄一郎)』と『バクマン(著:小畑健)』の単行本を一冊ずつ買って貰うのだ。
そしてをそれを読みながらケーキ屋に入って貰う。
その直後俺が「いやー、女の子でも少年漫画とか読むんだなぁ、まあ女の子が少年漫画好きでもいいけどねっ!!」とワザとらしく発言しながら入る。
そうすれば当然の心理として「なるほど、じゃあ男がケーキ屋に来てケーキバイキング頼んでもおかしくない」と店員や周囲にすりこめる。
完璧過ぎるロジックだぜ・・・。自分で自分の才能が怖い。生まれて初めて、女にモテるために必死に学んだ心理学が役に立ったぜ。
そして、野口英世を親友の妹に渡し、ちゃんとお釣りは俺に渡すように強く申し付けて休憩コーナーのベンチで待機してから数分、親友の妹が本屋から戻って来る!
「ありがとう!!」と俺は兜甲児くんばりの熱さでお礼を述べるが、何か様子が変だった。
おや・・・?しいもうとのようすが・・・ 。とりあえずBボタン連打してみたが駄目だった。
「ごめんなさい。ONEPIECEとバクマン、売り切れでした・・・」
「そっかあ。まあ人気漫画だからね」
俺は男の子なので泣かなかった。
完