●愛する人への恋文

・・・熊本県熊本市・・・。
ここに住む無職、25歳の彼は人生が終わっていた・・・。
ネットで出会い恋に落ちた彼女に会いに埼玉まで行ったのだが、
急に受信、着信拒否され終わってしまった。

今は『gooブログ』を更新するのが唯一の『生きた証』であった。
タイトルは『愛する人へのラブレター』という、明らかに『中二』なセンスであった。

しかし内容は『中二』ってレベルでは無く、他の凡人達を明らかに凌駕し、見るもの達を虜にした。

しかしその時はその『生きた証』も圧力によって規制がかかっていた・・。

そんな時、彼の公開されてるメールアドレスに、
一通のメールが届く。

「突然のメール失礼します・・・
　私は福岡に住む女子中学生です・・・
　私は難病で苦しんでます・・・
　主さんのブログを見るのだけが生き甲斐でした、楽しみでした・・・
　なんで凍結されちゃったんですか・・・？　悲しいです・・・
　もしまた見れるんなら、私の命も続きそうです・・・
　病気と闘えそうです・・・」

と。


「・・・！？」
「なんて事だ・・・」

彼は感動した・・・そしてスタンスを悔い改めた。

自分なんかの文章を心の支えにしてくれてる人がいる・・・。
勇気と希望を与えていたなんて・・・。
今までは読者全員を見下してた。
「楽しませてやってる」と。
いや現にそうなのだが・・・。

しかし、こんな読者も確かに存在した・・・。

彼のブログは、2010年5月1日から5月10日まで、
『凍結処分』をされており、見る事が出来なかった。

その理由は『うんちと猫の死体を晒したから』という、実に不当な理由であった・・・。

他の『彼の面白さ依存症』が困っていた(困っていなかったフリ)様に、
彼女もまた困り、メールを送ったのだった・・・。

彼は「とことんgooと戦ってやる・・・ブログが無くなってもいい・・・」という気概であった。
既にgoo本社まで電話もしており、『臨戦態勢』であった。
goo側は「クオカード一万円で機嫌直しなさい貧乏人さん」という舐めた態度を取って来たが、
「ふざけるな・・・」とそれを突っ撥ねる彼であった・・・。

しかしその彼女からのメールを見て、彼は考え直した・・・。

「そうだよな・・・この子のために・・・」

と決意し、gooまで、

「おい・・・負けといてやるよ・・・ただし、てめえらの薄汚い金なんか受け取らないね・・・
　勘違いするなよ、俺は少女のために凍結解除申請してるんだからな？」

と、申請するのだった・・・。
そして解除され、再び見れるようになったブログ。

『凍結されてる時も更新はしてた』という事実をしり感動する彼女。
再び他の人が見るかどうかは解らないのに、
『自分のため』にやってた彼に心底感涙した。

見れなくなって閉ざされた凍結された彼女の心も、解除された・・・。
決して語られる事の無い話であった・・・。

『見て楽しむ対象が存在するのが当然』と思ってる、
『面白さの火事場泥棒』達には絶対に解らない話であった・・・。

「お母さん・・・私、頑張る・・・
　元気になったら私も、『愛する人へのラブレター』の主さんより面白いブログ作るんだ！！
　私もあの人のように、人に感動を与えたいんだ・・・
　感動を貰う側から、感動を与える側になりたいんだ・・・！！
　そして、主さんに楽しませて貰ったお返しするんだ・・・！
　楽しませて貰ったらお返しする・・・当然だよね！？」
「うん・・・うん・・・元気になるのよ・・・」

そして彼は復活した時の記事でこの経緯を書いた・・・。

「俺が更新するのはお前等カスを楽しませるためじゃない・・・難病で苦しんでる、
　ラヴレターを送りたい『愛する人』である彼女のためだ・・・勘違いするなよカスども・・・」

と告げるのであった。

それを見ていたのは一人の雑誌編集者であった。
「グスン・・・なんていい話なんだ・・・」
彼は感動し、編集長の元に走っていく。

「編集長・・・このブログを書籍化しましょう・・・！！　
　今の世の中に必要なのは、こういうブログですっ・・・！！」
「ダメじゃ」











・・・『愛する人へのラブレター』物語・・・




　　　　　　　　　　　　　　完