
あちこちで仕事始めを迎えている、ある日の某所。
2月11日の建国記念日に放送される特別番組のために、
テレビ局のスタッフ達は街頭でインタビューを試みようとしていた。
無造作に中高生を選び、
「建国記念日とは何が建国された日なのか?
建国記念日は何故祝日なのか?
建国記念日は何故2月11日なのか?」

と尋ね、白いフリップに答えを書いて貰っていた。
しかしそこには、小学六年生程度の知識を持ってる者なら当然備えてる答えが正確に書かれていたのだ。
「どうしますか?」
慌てふためき、上司に指示を仰ぐスタッフ。
それもそのはずだ。
この番組の製作趣旨は「我が国の頭の悪い中高生」なのだから、正確に答えて貰ったら困るのだ。
今の中高生はそんなにバカじゃ無いという事に気付いてなかった、バカな製作者達の失態であった。
「金を握らせろ」
ポツリと発言する上司。その一言だけで、どう動けばいいのかを的確に察知するスタッフ達。
今度は、なんとなく金が好きそうな中高生を直感で選び、
ゲームソフト一本が購入出来るぐらいの金額を謝礼として進呈する事にした。
「建国記念日とは何が建国された日なのか?
建国記念日は何故祝日なのか?
建国記念日は何故2月11日なのか?」
と尋ね、やはり白いフリップに『決められた答え』を書いて貰っていた。
「2月に祝日が無くて寂しかったから強引に何かを建国した」
「わかんないです^p^」
「2月11日に生まれた人達がある意味建国された」
「祝日だから祝日」
「知るかっ! 自分で考えろっ!!(名前:クオーク)」
「それでも守りたい国があるから」
「2月11日を祝日にすればいいと思うよってシンジくんが言ったから」
「シャーマンニッポン共和国が建国された日」
「嘘だっ!! by:ひぐらしのなく頃に」
「そんな事より空中三回転して愛を囁きたい」
こんな簡単な質問がわからない中高生が現代日本に存在するはずが無い事は言うまでもないであろうが、頭が悪いフリをした中高生達の答えが集まり、満足するスタッフ達。
そして2月11日、夜。
そんな過程で製作された特別番組を、一軒家の自室で見ていた成績の悪い中学生がつぶやく。
「はあっ、また同じようなヤラセかよ・・・。今の中高生が、そんなにバカなはずないだろ・・・」
と。