月曜の夕刻。
熊本県熊本市に住む、4月6日に待望のニューシングル『縁を結いて(えにをゆいて)』をリリースする、
堂本剛の11年前の時ぐらいにイケメンだが、歌手のCoccoばりに情緒不安定で病んでいる自殺志願者の25歳の青年は、遂に決意を果たし以前から決めていた死地に赴く途中、街道で初老の男性占い師が声をかけて来る。
「ワシは予言者だ。君の未来を予言してあげよう」と、得意気に言って来る。
「ほう。お願いします」
いつもはこの手の声掛けは迷わず無視なのだが、死ぬ前に茶番に付き合うのも一興だと青年は思った。
「まずは君の明日から予言してあげよう。君は、明日は生きる」
「ほう」
「次は、君の1年後だ。1年後、君は生きている」
「ふーん」
「次は、君の10年後だ。10年後、君は多くの人に感謝し、感謝されながら生きている」
「へー」
「最後に、君の50年後だ。君を愛する大勢の人に看取られながら天寿を全うして笑顔で死ぬ」
「・・・」
「じゃあそういう事で」と言い残し、立ち去る占い師。
「・・・」しばらくその場で、思慮に耽る青年。
一週間後。
青年が商店街の店内にいる時だった。大地震が起こった。震度7以上の揺れだ。
たとえるなら、『2011年東北地方太平洋沖地震』ばりだ!!
ガレキが落ちて来て、店内にいた少年に直撃しようとした。
「危ない!!」青年は、店内にいた少年を咄嗟に庇って死んだ。即死だった。
その後、少年が外に出ると「ケンタ・・・。ケンタ、無事だったのか」
占い師をしている初老の祖父が、涙ながらに助かった少年を抱きしめる。
「うん、知らないお兄ちゃんが、守ってくれたんだ・・・。でも、お兄ちゃん、死んじゃった・・・」
「何!? そうか・・・」祖父は、ケンタに案内されて死体を見た後何かを察し呟く。
「まさか、ワシの予言が当たるとは・・・」と。
「?」少年は、キョトンとしている。