「死にたいよぉ」と、自殺志願者の青年。
電車に飛び込もうと決意した時、一つの注意書きが視界に入った。
同じ頃、司会がとある会場に入っていたがそれは別の話だった。
「 非常ボタン。非常時に押してください。イタズラで押さないで!!イタズラは法律で罰せられます 」
と書かれていた。
「・・・」
衝動に駆られる青年。
「おっ、押したい」
このようなボタンは、100人中98人が押したいと思うらしい(gooランキング調べ)ので、
自殺を決意した彼が例外じゃ無くても不思議は無いであろう。
「このボタンを押してから死んでも遅くないな」と思い止まり更に、
「まあいつでも押せる。今日じゃなくてもいい」とひとりごちる青年。
1年後。青年はバイトを始めていた。
「そろそろ押そうかな? まだいいや」
10年後。彼は支店を任され、店長になっていた。
「もうあれ押そうかな? 明日でいいか」
25年後。彼は結婚し、今日は子供の卒業式だ。
「この機に、押すべきかなあのボタン。子供がもう一回卒業したらでいいや」
50年後。彼は天寿を全うした。
彼の家には遺族が集まっている。
専ら、遺産の行方が気になっている遺族達。
遺言執行者の担当弁護士が、遺言状を開封する。
「『非常ボタン。非常時に押してください。イタズラで押さないで!!イタズラは法律で罰せられます』と、
書かれていますね」
淡々と遺言状を読み上げる弁護士。
「なんじゃああぁぁ!?」