
セールスマンの台風は、重圧に弱かった。
「台風、来ないかな」と若者達に過度の期待を寄せられてしまったので、 恐れをなして逃亡してしまった。
それを見物している、上司の神様仏様。
「ダメだな、台風は。すぐ逃げ腰だ。逆に、津波は積極性がある」
「だな。歓迎されてないのに、図々しく押しかけるもんな」
営業成績、一位:津波
だが、津波の乱暴な営業には、非難も多かった。
「アイツの営業で、東北地方の死者・不明者が2万を超えたそうだ」
「東北地方以外の10万、100万、1000万の客が楽しむんだから、問題ない、らしい……」
「一理、二理、三里あるな」
台風は、死者、行方不明者、つまりは営業成績を伸ばせないダメ社員だった。
「日本はナンテクレイジーナ国ナンダ!! 営業成績伸ばすタメなら、人もコロすなんテ!!」
陽気なアメリカ人トムがそう叫ぶ。
「津波は、大地震の顧客を奪っているだけ。津波は、大地震の顧客を奪って伸ばしてるだけ」ぶつぶつ。
内部告発だ。