
これは、誰も知らない夏の話です。
いつものように、両思いの女の子にメールを送ろうとする青年。
「どんな内容送ろうかな」とふとカレンダーに目を向ける。そういえば、今日から8月だ。暑いわけだ。
綴られている『今月の標語』が目に入る。ちなみに青年は兵庫在住ではない。
「 自己中心の思いが強いと 他人や社会が悪いとしか思えない 」と書かれていた。
「がーん」古典的な手法で驚きを表現する青年。
「これだ。これを送ろう」素直に感銘を受けた青年は、早速その文章を彼女に送るのだった。
だが、いつもなら1時間以内には返信が来るのに、
風の谷のナウシカ(116分)を見終わっても、タイタニック(194分)を見終わっても、返信が来なかった。
後日。青年の自宅に母親が訪れる。
「こんばんは」
「あっ、こんばんは」
「実は、娘は死んでしまったのです……」
「えっ!?」
「最期に、最期にあなたとメールが出来て、娘は本当に幸せだったと……、」
「嘘だ! 嘘だあぁぁぁぁっ!!!」
泣き喚く青年。
「そうか。あの子は俺の寂しい心が生んだ、幻だったんだ……」そして青年は、真実を悟る。
――ずっと一緒だよ
あの時の少女の言葉が、脳裏を過ぎる。
これは、誰も知らない夏の話です……。
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