
5位……愛する人への恋文(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)
宝島へのアピール:自薦&他薦
ブログ主「面白いブログが見たいなら他のゴミブログで満足しとけよ。俺が目指すのは凄いブログだ。」
このブログへの担当選考員として宛がわれた時の第一印象は、
「なんだこの中二病ブログは?」だったのだが、読み進めていくにつれアーノルド深海よりも深く反省していた自分が存在した。
このブログ主は絶対的に中二病たちとは区別しなければならない。
彼をそこにカテゴライズするのは、岡本太郎をそこらの芸術家気取りと同類にするぐらいに無礼千万、
だといっても決して過言にはならない。
何を勘違いしているのか知らないが
「捻くれてる自分はカッコいい」に尽きるのがいわゆる中二病なのだとしたら、
彼の場合「お前はバカ。捻くれてる自分もバカ」に尽きているのだから驚きだ。
なんと彼は「書き手として夕飯なんて晒したらダメだろ。画像に頼っちゃダメだろ、恥だろ」と主張しているにも関わらず、ほぼ毎日夕飯を晒しており、画像を晒しまくっているのだ。頼りまくっているのだ。
この「自己矛盾」こそが彼の凄さの象徴であり、彼がそこらの中二とは一味も二味も違う所以なのだ。
中二病にブログをやらせたら「捻くれてる記事」に終始するだろうが、
斜に構えて世界を見ている中二病に対して
彼は時折、突き抜ける程に正面から世界を見ているのである。その点が絶対的に違う。
個人的嗜好を持ち出して恐縮なのだが野球で喩えることを許して頂けるなら、
中二病はつまりは、
変化球→変化球→変化球→変化球→変化球
の一辺倒なのだが、彼は違う。
確かに捻くれているが、その中にストレートを的確に織り交ぜ緩急をきちんと付けている。
彼にとって夕飯晒しがストレートなのだとすると、彼のブログは
夕飯→記事→夕飯
で成立しているので、その「記事」がストレートなのか変化球なのかは、
神にすら知りえない、予測不可能の領域なのだ。
つまり中二病が書く記事は「変化球の次も変化球だろ?」と球種がバレバレなのに対し、
彼の場合は「次はどんな球を投げるの?」つまりは、次にどんな記事を書くのかと一抹の期待感を持たせてくれるのだ。
陳腐な表現だが、実にワクワクするのだ。
となるなら、彼の夕飯晒しも全体的に見て、大いに意味が生まれてくる。
恐らく彼自身も「自分が次にどんな球を投げるのかが定まってない」ようにも思える。
自分が書くブログを一番楽しみにしているのが、自分自身だという断固たるポリシーさえも感じられるのだ。
ストレートと変化球を使いこなせる投手が今の球界(ブログ界)にどれぐらいいるだろうか?
断言しよう、彼だけだ。
著者自身も含め「捻くれてる“だけ”の俺カッコいいだろ?」といった飽和状態の量産タイプにはもうウンザリしているのではないだろうか?
「夕飯晒すのなんてカッコ悪い、ダサイ」と斜に構えているのが中二で、
「夕飯晒すのなんてカッコ悪いし、ダサイ」で終わらせず「だからしなくちゃ」とダサイことから瞼を背けず実行に移せる彼が中二病なら世も末だ。
彼はメンヘルや構ってちゃんの類とも確実に別の人種だ。
何故なら「自己憐憫」とはおおよそ程遠い自己表現をしているからだ。
いわば「他者憐憫」の部類ではないのだろうか? それが彼の根幹をなしているもののように思えて仕方ない。
彼ほど他者を哀れむ心を持ち合わせている人間を私は他に知らない。
だが、安っぽい同情心や偽善者ともまた遠い存在だ。
彼は、自身を哀れみ他人を哀れむことができる。類稀なシニカルで貴重な存在といえるのだ。
さて、このブログが五位入賞したことについて疑問に思う者はいるだろうし、
報告を受けたブログ主自身が誰よりも疑問、不満に思い、猜疑心の呵責にさいなまれることだろう。
自身としてはこのブログを強く推したのだが、如何せん好みが分かれそうなブログなので選出に難航し、
惜しくもこの位置で納得させられてしまった。
だが、一位になるよう進言したのに通らなかった負け惜しみではなくこのブログが五位に位置する意味は大きい。あまりにも大きい。
四位から一位のブログは「なんでこのブログより上なんだ?」と疑問も抱くだろうし
下は下で「あれで五位って、五位に入るのすらも未知の領域なのか」と、
それぞれを発奮させる役割として大いに機能するからである。
偉人「天才は常に昨日の自分と戦っている。」
彼もまた然り、自分が以前に作った「凄い記事」と戦い続けているのだろう。
それ以上に「凄い記事」を完成させるために。
次はどんな変化球を投げてくれるのか、はたまたストレートか?!
担当関係なく、これからは1ファンとして1傍観者として純粋に楽しみにしたい。
ネット環境の発達によって、ブログで誰もが容易く自己発信が可能になったことは、
多くのユーザーが知っているだろう。
それゆえテレビに代わる生のメディアが、ネット上にももっとたくさん誕生するという期待感は多くの人が抱いていたはずだ。
しかしいくらインフラが発達しても、そのブログを生かす行動力、
そして好奇心、研ぎ澄まされた感性がなくては、新たな可能性は生まれない。
しかしして、その可能性が、こんなひとりの男性の力で現実のものになっているところが実に興味深い。
時代を本当に変えるのは、インフラの発展ではなく、フットワークの軽くて好奇心旺盛な……
愛する人への恋文(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)の主のような人の力なのだろう。
たとえば彼みたいな人が小学校の教員になれば、少しは日本の教育現場が変わるかも知れない……
とすらも本気で想像させてくれる。
子どもたちと同じ目線で真っ直ぐに物事を見れる。
そんな「当たり前」のことができるのだから。
賛辞ばかりでは気味が悪いのでバランスを取るために
非難もしとこうかと一考したが、
彼の筋の通った正論、
「人を褒めることと人を非難することは同程度の難易度、傍観はバカでもできる」
に甘えることとする。
堂々の五位、実質的な一位がこのブログだと特筆させてもらい、筆を置くことにする。
「ネット上に人間はいるのか?」と疑問、不安を感じることなかれ
ネット上にも人間は
ここにいる。やっといる。
「すごいブログを見たことがない」と嘆いているそこのあなた、すごいブログは、ここにある。
やっとある
●文責:○○ ○○○(宝島編集部)
田中は、単身宝島社編集部に乗り込んでいた。
「あの、田中と申します。性は田中、名は田中です」
「はい? 何か用ですか?」
面倒臭そうに対応する編集部。
「僕の親友のブログ(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)を、今度の『このブログがすごい』で1位にしてあげてください!」
と、日本一面白いブログのURLが書かれた紙を差し出す田中。
「ほう、時々、俺のブログが面白いんだから記事にしろ!と持ち込んで来る血気盛んな若者はいるけど、他薦とは・・・初めてだよ」
感心と皮肉の入り混じった声を吐く編集部。
「本当に、本当に凄いブログなんです! このブログを見たら、もう他のブログなんて全てが陳腐でなんの凄みが無い単なる置物に見えるぐらいです」力説する田中。
「ははは、友達思いなんだね!!」
編集部が笑いの渦に包まれる。
「じゃあ、ちょっと待ってろ!!」
と、この中では格が高そうな編集が空の紙コップを持って何処かに向かう。
数分後、満面の笑みで戻って来る。
紙コップの中には、コップ半分ちょっとのアップルジュース・・・では無く、明らかに小便が入っていた。
「それを全部飲め!!」と田中に命ずる編集部。
「えっ!?」事態が把握出来ない田中。
「友達のブログを見て欲しいんだろ? 誠意を見せるんだな!!」
「飲んだら、1位にしてくれますか?」真顔で尋ねる田中。
「そんな訳ないだろ! 見てやるだけだ。だが面白かったら、いや、凄かったら1位になる。当たり前だろ」
「そうですね」と言い終えるや否や、紙コップを手に取り一気に飲み干す田中。
「まっ、マジかよ!?」ざわざわ・・・と、編集部内にどよめきが起こる。
「おい、服部」その一部始終を黙って見物していた編集長が、偉そうだった服部という編集に声をかける。
「はっ、はい?」
「お前、その子が持って来たブログの選考担当だ、見てやれ」
「はっ、はい」
と答えるが、内心では「めんどえくせえなあ・・・どうせ糞つまんねえブログだろ」と思う服部であった。
後に、現実を突きつけられ深く反省する事になるとはこの時の服部にはまだ知る由もなかった。
そして後日、株式会社宝島出版の会議室では、最終選考が行われていた。
1000を超える幾多のブログの中から、残ったのは僅かに数十個のブログだった。
この中から、10位までを決めるのだ。
「次、服部・・・。愛する人への恋文(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)担当、服部」編集長が服部の名前を挙げる。
既に他の担当も、既に仕事の領域を超え、思い入れのある自分の担当ブログについて熱弁を振るった所だ。
「おいおい、なんでそのブログが最終選考に残ってんだよ? 編集長、小便飲んだからって、情に棹されましたか?」
「ただの『俺って凄いだろ?』とか『私を見て見て><』系のブログだろ? 飽き飽きしてんだよ!!」
「いわゆる、中二病ってやつを権威あるこの企画に持って来るんじゃねえよ!」
他の編集が野次を入れる。
「服部、アピールをしろ。わかってると思うが持ち時間は10分だ」
その野次を存在しないかのように編集長が目配せする。
「はい!!」
「くっ・・・」
涙目の他の編集。
「では説明を始めます。私も最初は舐めて見てましたが、このブログは、既存の量産ブログとは明らかに違います。今や虜です。ファンです」まだ牙を隠し大人しく、淡白に説明する服部。
「どこがどう違うんだ?」編集長が静かに、だが不思議な威圧感で尋ねる。
「先程、他の編集が述べましたが、このブログ主は『傍観してるあなたって凄いですね』であり、『傍観してる僕、私を見て見てってか?』と、問いかけているのです。そこが大きな違いです。彼は決して自分の事を凄いなんて自惚れていません。ただの非力な人間だと弁えています」
「ほう」編集長は明らかに興味を抱いている。
「毎日の裸晒しがその象徴だと言えます」
「単なる変態だろうが!!」他の編集が野次を入れる。
「それも違います。彼は、単なる『人間』です。乙武洋匡をバカにする代償として、『自分は五体満足です、気持ち悪い五体不満足では無いです』と。黒人をバカにする代償として、『自分の肌は白いです。だから気持ち悪くありません』と、『他人をバカにする筋』を手に入れるために晒しているのです、夕飯も、裸も、景色も」
一蹴する服部。
「???」だが、完全に理解出来ていない他の編集。
「どういうことだ?」編集長が真意を尋ねる。彼だけは、理解していないフリをしているだけだ。
「言葉で説明は出来ません、彼の凄さは」キッパリと断ち切る服部。
「なるほどな・・・」だが編集長には伝わったのか、嬉しそうだった。
「『俺を認めてくれ』と、認めて欲しい願望を認められる者。『別に認められなくてもいい』と、認めて欲しい願望を隠す者、大体この二種類に分類されますね? 後者が所謂、中二病ってやつです」
「ふむ」相槌を打つ編集長。
「所が、この主はどちらにも分類不可能です、つまりニュータイプのブロガーです。いや、『ブロガー』に分類したくありません。彼がやってるのが『ブログ』なら他の『ゴミ(ブログ)』はなんですか?」
「どういうことだ?」
「彼の凄さは、言葉では説明出来ません」やはり真顔でそう断言する服部。
「ははははははははっ!!」冷静沈着な編集長が高笑いする。他の編集は驚いている。
「ジャニーズの記事を一杯書いてる事についてはどう説明するんだ?」
他の編集部員が、『限定ネタ』に触れる。
よし、来たなとばかりに服部は歓喜した。
「彼はジャニーズ等の記事を書く時にも技巧が凝らされており、ジャニーズに興味が無い者までもグイグイ引き付ける天性の才能を持っています。ジャニーズに限らず、『そのテーマに興味が無い者』も、彼が調理したってだけの理由で一読も二読もの価値があるのです!!」豪語する服部。
「ちいっ・・・」やぶへびだったと後悔する編集。
服部が言ってる事が壮言大語では無いって事は、敵情視察をしていた編集は大いに理解していた。
確かにあのブログには『説得力』があるのだ。
「田中くんの気持ちがわかりましたよ。編集長・・・」自嘲気味に服部が淡々と述べる。
「?」
「今やあっしも田中くんと同じ気持ちでっせ」
「どういう事だ?」
「彼のブログを1位にしてくれるなら、小便だって飲めるって事でさああぁぁぁあぁ!!」
と声高に宣言する服部。
「服部!?」
ざわざわ・・・。会議室には、どよめきが起こる。
やる気の無かった服部は、神ブログに感化され、変わってしまったのだ。
「あっしは、それぐらい惚れ込んだんですよ・・・。今までは単に『仕事』で色んなブログをチェックしてましたが、ブログを見て思わず『すごい』と声に出してしまったのは初めてだったんですよ!!」
明らかに興奮している服部。
愛する人への恋文(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)の凄さは、なんと罪なのだろうか。
何よりも、『凄さ』を認められる服部の『凄さ』もまた凄い。
「努力した者は報われるべき・・・。とでも言うのか?」皮肉交じりに編集長が問いかける。
「ははは。まさか、生憎そんな青臭い事は言えませんぜ。ただ・・・、」
「?」
「優れてる者は優れてると評価されるべきってだけの話でっさあ」
「なるほどな・・・」
編集長は目を瞑り、沈黙した。
「愛する人への恋文・・・。五位だ!!」沈黙を断ち切るかのように、編集長が叫ぶ。
ざわざわ。やはりどよめきが起こる。
「編集長!?」納得の行かない服部は、他の編集の抑止を振り切り編集長に掴み掛かる。
「彼だったら、『語彙に溢れてるだけに五位』とかってダジャレを言ってくれるだろ?」
「ふざけないでください!」
「落ち着け服部・・・。優れたものが1位だったら、そのままだろ」編集長は微動だにせず告げる。
「どういう事ですか!?」
「本当に優れたものは、1位では無く5、6に位置する理論を知ってるな?」
「この業界で知らなかったら恥でしょ・・・」
「ああ、お前の好きな野球でも使われる手法だろ? どう考えても4番の器じゃない奴が4番にされる事があるだろ」
「はい」少し落ち着きを取り戻してきた様子の服部。
「確かにそのブログは優れているさ。認めざるを得ないだろう」
「そうでしょ!? 優れてるから優れてるんですよ!! 他に理由なんて無いでしょ?」
「なら、『あえて』5位なんて中途半端な位置にしたら、他のブロガー達はどう思うかな?」
「あっ・・・!?」ようやく編集長の真意を察し、感動する服部。
「そういう事だ。腐った、つまんないブログ界を本気で変えるなら、彼1人が優れてればそれでいいのか?」
「いえ、よくないです」
「くくく。まあ、どれだけの奴が遠回しな鼓舞に気付くか、気付かないフリをやめられるか・・・だな」
「はい」二人のやり取りを、全く理解出来ない様子の他の編集。
「それにな、彼には『1位程度』で満足はして欲しくないしな」
「編集長・・・」己の小ささを知り、恥ずかしくなる服部。
そして後日・・・。
日本一、世界一、銀河一面白いブログ、
愛する人への恋文(
http://20yearsafterlove.blog.2nt.com/)の主は、
KinKiKids(キンキキッズ)30枚目のニューシングル、Family~ひとつになること(作詞:堂本剛。作曲:堂本光一)を聴きながら五位入賞のメールを確認し、
「語彙に溢れてるのに、五位とか・・・。どういう事だよ」
と、しょうもないダジャレを呟いていた。
YouTube - 宝島編集の○○さん、ありがとうございます(お礼)
http://www.youtube.com/watch?v=PW0HWgdBF2o tag : 宝島別冊宝島このブログがすごいすごい面白い、程度腐ったブログ業界を本気で変えるには認めさせない事認めないでは無く、認めさせないつまり優れたブログありがとう、宝島さん